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東京書芸学園スタッフブログ

起承転結

2015/03/13

指導部の村上です。
いかがお過ごしでしょうか。



まず最初にお知らせです。


東京書道教育会では現在書藝選抜展の作品を募集いたしております。

出品締切は3月18日です。
全国の方々の素晴らしい作品をお待ちいたしております。
出品作品を相談されたい方、期日に間に合うか不安な方、よく、お声を頂きます。
ぜひ、一度ご相談のお電話(03-5770-6811)を私、村上宛に頂ければ幸いです。



さて、起承転結という言葉をご存知でしょうか。


物語の成り立ちの基本的な形をこう言います。新聞に見られます四コマ漫画がよい例です。


一コマ目:ことの始まりが描かれます。(起)
二コマ目:始まった事柄が進みます。(承)
三コマ目:事柄の進む方向が一転します。(転)
四コマ目:物語の落ちが描かれます。(結)
時間芸術の基本的な形がこの起承転結です。



時間芸術の典型は音楽です。

時間の経過とともに作品が表現されていきます。最後まで聴いて全体が理解されます。


書道も時間芸術の一つです。

一字目から始まって、時間の経過とともに文字が表われます。
最後の文字と落款が書きこまれて完結します。全体像がそこではじめて現れます。


物語や音楽と同じ時間芸術ですから、この起承転結が書道の作品を書く時にも適用されるのです。
ここに半折の作品があります。續木湖山先生が書かれた作品の手本です。



①墨を含んだ筆の第一字目ですから線が滲みます。
線が滲むと文字が膨らみますから小さく書き始めます。
音楽の導入部が小さく始まるのと同じです。これが「起」です。


筆は二字目に進みます。さらに三字、四字と書き進めると墨が切れるので、
②で墨継ぎをします。これが「承」です。


墨量の変化で文字が書きすすめられたことが分かります。時間の経過が見てとれるのです。


二行目に移って、さらに筆は進むのですが、③を見てください。
縦の線が永く引かれています。
それまで普通に書き継がれていたリズムが一転します。「転」です。


そしてここが見せ場でもあります。
見る人をここで引きつけます。四コマ漫画も同じです。
あれ、どうなったんだろうと思わせて読者をストーリーに引き込むのと同じ手法です。


そして結びへ向かって文字はだんだん小さくなります。
作品が終了することを告げて終えます。これが「結」です。


書道作品も漫然と文字を連ねるのではなく、
こうした形をとるとすっきりと纏まります。
最初から文字が大きかったり、大きな文字で終わったり、どれも同じ調子で書かれたりすると、
作品は焦点を失って漫然としたものになってしまうのです。



是非、起承転結を生かして書いてみてください。きっとうまく行きます。



もちろんこれがすべてではありません。
起承転結を打ち破った作品も存在します。しかし高度な技術を要します。
まずは基本の形を身につけてから、いろいろと試みるのがよいでしょう。


では、皆さんのご健筆を期待して、ここまでとします。またお会いしましょう。

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