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東京書芸学園スタッフブログ

書展訪問

2014/10/31

指導部の村上です。
秋が深まってきました。いかがお過ごしでしょうか。
先日、銀座は有楽町の「交通会館」のB1にあるギャラリーへ「愚山会展」を見に行ってきました。

東京書道教育会の通学部「東京書芸学園」の講師の先生方が中心になって書道を研究している「愚山会」という会があります。先生方は漢字、かな書道、ペン字、実務書道のいずれかを専門分野として年に一回、創作発表の書展を開催しています。それが「愚山会展」です。

今年は、10月26日から30日まで開かれました。私は29日に訪問して作品を鑑賞しました。

愚山会の先生方がまた師と仰ぐ先生の作品を毎回表敬展示していますので、今回は四人の先生方の作品をみなさんと一緒に鑑賞しましょう。



携帯で撮った写真の画面が暗く、ご覧難いですがお許しください。

大房鐵陽先生の作品





2点出品されていました。

1点は漢字作品で「師法深遠百練自得」。先生の法は深遠で何度も繰り返し練習して習得するほかない、というような意味だと思います。

2点目は、「さされた図星 天眼鏡がにくらしい」と書かれています。大房先生は川柳を詠まれましたので、そのひとつですね。
漢字作品は行書と草書で書かれています。さらさらと何気なく書かれていますが、常に運筆に変化をもたらして、それが自然な線として表現されているところが素晴らしい。



園田愛山先生の作品




全懐紙、B3位の大きさに書かれたペン字作品です。
紙は鳥の子紙という料紙の表面をローラーで引いています。筆記具は、つけペンです。
硬筆の中では美しい線が出る筆記具として書き手に好まれています。

個々の分かるように前半と後半を大きく写しました。書体は行書。
文字を続けて書く手法、連綿を配した流麗な筆致が見事です。題材は言わずもがなですね。



臼井南風先生の作品


行草書一行作品です。白隠の語である「隻手音聲」の四字から成っています。
書作の表現の一つに潤渇があります。
潤筆すなわち墨が潤っている線と、渇筆すなわち墨が少なくなって掠れを帯びた線で、時間的表現と立体的表現を作品に盛り込む手法です。


四文字の場合、一字目、三字目もしくは、一字目、四字目が一般的ですが、これは一字目、二字目、さらに四字目で墨を継いで意欲的に潤渇を表現した作品です。潤渇の経緯が自然で試みが成功しています。手法も表現も自然体の中にあってこそといえる快作です。



續木湖山先生の作品


色紙に漢字かな交じり三行を認めたもの。作品というよりも筆跡と呼んだ方がいいかもしれません。
作品と呼ばれるものは大抵、手法や技術が盛り込まれて表現されています。しかしこの色紙には、僅かに三行を中央に書くという以外に際立った作為は見当たりません。

墨は少しいいものを用いています。あとは筆に任せて、文字や行の傾きも、にじみもかすれも一向気にせず認めて、多少不満ではあるのでしょうが、ま、いいか、と印をついて、そうしてそこらへんに放り出したのを誰かが拾って幸いに今に至ったようです。

夢、彼方の三字に多少の故意を感じますが、技術を超えた品格は動かしがたい筆跡です。



いかがでしょうか。皆さんの参考になれば幸いです。

ではまた他日。

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