2013/03/05
余寒厳しいこの時期に関東三大梅林に数えられる自然豊かな越生梅林を訪ねました。
まだ梅の開花には早いようで、梅見の観光客は少なく静かな越生梅林でした。
越生梅林へは、東武東上線「坂戸」で越生線に乗り換え、終点「越生」下車、バスで15分ほど。
ところで、越生(おごせ)は難読地名と言われています。
車がない昔は、目的地まで峠や山を越え自分の足で歩きました。
地形的に越生は山々に隣接した里で、秩父や上州方面に向かう山道があります。
山深い尾根や峠をこえることを「尾根越し」と言います。越生の地名はそこから来ていると言われています。
越生を思わせる、芭蕉の梅の句。
「梅が香に のつと日の出る 山路かな」 松尾芭蕉
寒中の凍てつくような空とは違い、早春の頃の日の出は、どこか
空気も緩み やさしい。芭蕉は梅咲く頃の日の出を「のつと~」と言う
独特の言葉で表しています。冷える朝、芳しい梅が香を漂よう、
山路の情景がうかぶようです。
散策していると偶然に、早咲の白梅に出会うことができました、感謝です。
「ただよえる 梅のにほいの 土の上」 長谷川 素逝
寒さの厳しい早春、様々花にさきがけ咲き誇る梅は、昔から松・竹・梅 の一つとして日本人に親しまれます。
昭和初期、サクラかウメどちらを日本の国花にするの時、意見が二分するほど、でした。
いずれも日本人の心に残る大切な花です。
香りも姿も気品があり、造形的にも心揺さぶる梅ですが、
ここ越生の梅林は鑑賞用の梅ではなく、実梅を取るための果樹園の梅です。
梅の収穫量を増やす為、樹高を低く保つため、天高く上に伸びる若枝(徒長枝)や幹の剪定作業をしています。
生産者の皆様が手間と愛情を込めた越生の梅に感謝して、しそ梅干しを買い越生を後にしました。
「今日のみの 春を歩いて しまいけり」与謝 蕪村
東條 勲
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